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千葉地方裁判所 昭和57年(わ)98号 判決

裁判所書記官

内畠義弘

本店所在地

千葉県松戸市常盤平五丁目一八番地三

法人の名称

蓮池建設株式会社

右代表者代表取締役

蓮池清

本籍

千葉県市川市平田二丁目一八六番地

住居

同県松戸市常盤平五丁目八番地の六

会社役員

蓮池清

昭和九年三月一三日生

右の者に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官永田俊明出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人蓮池建設株式会社を罰金一、八〇〇万円に、被告人蓮池清を懲役一年に、それぞれ処する。

被告人蓮池清に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人蓮池建設株式会社は、千葉県松戸市内に本店を設け、土地及び各種建物の売買等を営む資本金一、二〇〇万円(昭和五四年一一月二六日以前の資本金は三〇〇万円)の株式会社であり、被告人蓮池清は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を除外して簿外預金を設定する方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が八二、九六一、一六一円、課税土地譲渡利益金額が五〇、七六三、〇〇〇円あったのにかかわらず、同五四年二月二八日、千葉県松戸市小根本字久保五三番地の三所在の所轄松戸税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二〇、六三六、六五八円、課税土地譲渡利益金額が一一、六三五、〇〇〇円でこれに対する法人税額が九、七三三、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額四二、四八八、六〇〇円と右申告税額との差額三二、七五五、六〇〇円を免れ

第二  昭和五四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四四、八八九、六一七円、課税土地譲渡利益金額が二四、五三五、〇〇〇円あったのにかかわらず、同五五年二月二八日、前記松戸税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が一六、四九八、四七六円、課税土地譲渡利益金額が二二、〇六六、〇〇〇円で、これに対する法人税額が四、三九二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二二、〇〇二、二〇〇円と右申告額との差額一七、六〇九、四〇〇円を免れ

第三  昭和五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四三、三九六、九五七円、課税土地譲渡利益金額が二二、〇八六、〇〇〇円あったのにかかわらず、同五六年二月二八日、前記松戸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が零、課税土地譲渡利益金額が二五七、〇〇〇円で納付すべき税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二〇、八五〇、九〇〇円と右申告額との差額二〇、八五〇、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人蓮池清の当公判廷における供述

一  被告人蓮池清の検察官に対する供述調書二通

一  高橋久夫及び河村隆の検察官に対する供述調書各二通

一  土屋武人の大蔵事務官に対する供述三通

一  被告人蓮池建設株式会社の登記簿謄本

一  検察事務官作成の報告書三通(検察官請求証拠等関係カード甲番号24、25及び94のもの)

一  大蔵事務官作成の売上調査書及び売上調査書(訂正)、検査てん末書(三通、同カード甲番号74、75及び76のもの)、受取利息調査書、支払利息割引料調査書、源泉所得税調査書、事業税認定損調査書、事業税認定損調査書(訂正)、土地重課税額調査書、土地重課税額調査書(訂正)

一  福井勝作成の証明書

一  押収してある手帳一冊(昭和五七年押第一〇三号の3)

判示第一の事実につき

一  安藤文生、内山晴人、鈴木由雄、加藤字平及び小椋信夫の大蔵事務官に対する各供述調書

一  高橋功、山口良三、鈴木ふみ、石井満、大橋勢津子、小嶋英雄、新海八重子、鈴木正義、伊藤一男、長谷川七郎及び小園辰郎作成の各「土地付建物の取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  検察官作成の電話聴取書(同カード甲番号85、88及び40のもの)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同カード甲番号2のもの)

一  押収してある法人税確定申告書二綴(昭和五七年押第一〇三号の5、6)、法人税修正申告書二綴(同押号の9、10)、御来客控簿一冊(同押号の1)、手帳一冊(同押号の2)及び日報(同押号の4)一冊

判示第二の事実につき

一  松丸勇及び持丸繁美の大蔵事務官に対する各供述調書

一  山岸智恵、椎名康夫、小提澄江、萩原浩二、伊藤英司、小杉和美、宮島栄、竹村紀久夫、松丸明、深山徹、山崎隆二、木賀昭男、宮川潔、楡木寛次郎、森内政雄及び笹山統作成の各「土地付建物の取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  検察官作成の電話聴取書(同カード甲番号60のもの)

一  大蔵事務官作成の寄付金損金不算入額調査書(訂正)、申告欠損金調査書及び脱税額計算書(同カード甲番号3のもの)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の7)

判示第三の事実につき

一  草柳昭八郎、平野晴雄、対島昇及び宇田川育子の大蔵事務官に対する各供述調書

一  戸塚孝基作成の「土地付建物の取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  検察官作成の電話聴取書(同カード甲番号71のもの)

一  大蔵事務官作成の繰越欠損金調査書及び脱税額計算書(同カード甲番号4のもの)

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の8)

(法令の適用)

被告会社の判示各所為は行為時においては昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条に裁判時においては右改正後の同法一六四条一項、一五九条に、又、被告人の判示各所為も行為時においては昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条に、裁判時においては右改正後の同法一五九条にそれぞれ該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、被告人については所定刑中懲役刑のみを選択し、以上はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で罰金一、八〇〇万円に、被告人については同法四七条本文、一〇条により重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、懲役一年にそれぞれ処し、被告人に対しては情状により同法二五条一項により、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 河村吉晃)

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